インフルエンザワクチンについて

なぜインフルエンザワクチンを接種するのか
   インフルエンザは感染後1〜2日の潜伏期の後に38度以上の発熱をもって突然発症し、初期には頭痛、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などの強い全身症状を示すことが特徴です。その後せき、痰などの呼吸器症状が現れて、若い健康な成人の場合でも数日の間寝込まざるを得ない状態が続きますが、通常は1週間以内に回復します。65歳以上の高齢者・幼児・妊婦・気管支喘息・肺気腫などの呼吸器疾患・腎臓病・糖尿病・癌を含めた免疫が落ちている人にとって重大な被害を及ぼす恐れがあります(幼児ですと脳炎、気管支喘息・肺気腫ですと2次性の肺炎・細気管支の炎症に伴う重症呼吸不全で命を落とすことがあります)。
   数年前の大流行以来、公共の援助が受けられるようになり、高齢者の接種率は非常に上昇していますが、流行時期になりますと、予防接種を受けていない多くの小学生から中年の方が発熱で病院の救急外来を受診しています。ひとり暮らしの若い方で動けなくなってしまうため救急車を呼び急患室を受診する人もいます。
   最近インフルエンザにかかっているかどうか調べられる迅速キットが普及してきており、その場でインフルエンザと診断されますと、かなり状態が悪くとも、院内感染を防止する意味でなかなか入院できないのが実情です。抗インフルエンザウイルス剤が用いることができるようになったことにより、治療が以前に比べ容易にはなってきましたが、発病後48時間以内に開始しないと効力が少ないため、いったん感染すると自分がつらいだけでなく周囲の多くの方に迷惑をかけます。

接種する時期・回数
   ワクチンが十分効果を維持できる期間は接種後約2週間後から約4から5ヶ月とされており、過去の状況から考えて一般的に10月下旬より12月上旬ごろに行われるのが望ましいとかんがえられます。(ただし昨年は11月に一部で流行がありました。)
   回数については65歳以上の方・毎年ワクチンを接種している13歳以上の方は追加免疫として1回で十分といわれています。インフルエンザワクチン接種が初めての方、幼少児は1〜4週あけて2回接種が勧められています。(米国では1回です)

ワクチン接種したのに風邪をひいた
   十分にありえます。いわゆる風邪といわれている病態はインフルエンザ以外のウイルス、つまりRSウイルス(成人では症状軽いのですが、年少小児では重篤な気管支炎・気管支肺炎の原因になります)・パラインフルエンザ・ライノウイルスなどの感染による症状であり、そのようなウイルス感染に対してはインフルエンザワクチンは効果がありません。直接ウイルスに効果のある薬剤はなく、自然治癒力にゆだねられます。

副反応について
   重大な副反応としてまれにショック・アナフィラキシー様症状(蕁麻疹・呼吸困難・血管浮腫などがあらわれることがあり、そのほとんどは接種後30分以内に生じています。その他、けいれん、脳脊髄炎などの神経症状が出現する疾患の報告があります。
   軽い副反応としては
    過敏症(接種直後から数日中に発疹、蕁麻疹、紅斑、かゆみ)、
    全身症状(発熱、悪寒、頭痛、倦怠感):通常2〜3日で消失します。
    局所症状(発赤、腫れ、痛み):通常2〜3日で消失します。


予防接種後の反応
   予防接種後に異常反応を疑う症状が見られた場合、これを健康被害と呼んでいます 。この原因として、上記にあげた副反応の場合のほか、偶発的に発症または発見された病気が混入することがあります(紛れ込み事故と呼んでいます)。これらを避けるために接種前の体温などの健康状態のチェックを十分に行います。しかし予防接種による予知できない重篤な副反応や後遺症は起こりえますので、特にワクチン接種後30分以内の健康状態の変化には十分に注意が必要です。

接種不適当者(予防接種を受けないほうがよい方)
    1.接種当日、明らかな発熱(37.5℃以上)を呈している方。
    2.重篤な急性疾患にかかっている方。
    3.インフルエンザワクチンの接種液の成分によってアナフィラキシーショックを
      生じたことのある方。

よくある質問
    予防接種当日の入浴はやめたほうがよいですか?
        接種後1時間を経過すれば入浴は差し支えありません。
    飲酒はどうですか
        過激な運動、大量の飲酒はそれ自体で体調の変化をきたす恐れが
        あるため接種後24時間は避けてください。

そのほかよくわからないことがある場合は必ず医師にお尋ねください。


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