咳が続く方 part T
風邪ひいた後、セキだけが3週間以上続く方が最近増えています。市販の風邪薬・セキ止めでよくならない場合、以下の病気を考えなくてはなりません。
A) 比較的喀痰を伴わない、あるいは少量の比較的透明な喀痰を伴うが、
セキそのものが苦痛である場合。
1. 気管支喘息
2. 鼻炎による後鼻漏による咳嗽(がいそうと読み、セキのことです)
3. セキ喘息
4. アトピー性咳嗽
5. かぜ症候群後遷延性咳嗽
6. 喉頭アレルギー
7. 胃食道逆流
8. 心因性
9. 薬剤性
10. 肺癌・気管支結核・間質性肺炎
B) 痰を喀出(気管支から出すこと)するためのセキ。
生態防御機構としての生理的咳嗽。
11. 副鼻腔気管支症候群
12. 慢性気管支炎
13. 後鼻漏 など
まず注意すべき点として、いままで花粉症・アレルギー性鼻炎の既往があるかどうか。いままでなくとも現在鼻炎症状(鼻水・鼻閉感・のどへのたれこみ)があるかどうかをチェックします。鼻炎が改善しきれず、軽度ながらも鼻汁が口腔へ垂れ込むことがセキの原因になっている方が多数いらっしゃいます。
大事な点は肺癌・結核・間質性肺炎などの重大な病気が隠れていないかを胸部レントゲン写真できちんと確認することです(できれば正面写真だけでなく、側面写真も撮影したほうがより正確です)。(もちろんもっと詳しい検査、たとえばCTスキャンなどが必要になることもあります。)
もうひとつのたいせつな検査として呼吸機能検査(肺活量・努力肺活量で肺全体の機能・気管支の状態がよくわかります)があり、気管支喘息との鑑別に有用です。A)の2から6の診断には呼吸機能検査が必要です。検査結果は数値だけでなく呼気のスピードと量との曲線の形が重要です。当クリニックでは患者様の結果について曲線の形を見ながらわかりやすく説明いたいます。
昨年より呼吸機能検査に加え呼気中の一酸化窒素量(FeNO)を調べるNIOXという機械を導入しました。気道の好酸球性炎症(アレルギーの炎症)が強いと数値が上昇し、アレルギーの炎症の度合いが数値で判定できます。
FeNO検査
最近アレルギーの咳が改善後軽度のストレスで咳が継続する方が増加しております。寝てしまってから・休日・楽しいことをしているときに咳が出ない人は要注意です
病気ごとで用いる薬剤も違い、一回の診察・薬剤の投与では診断が確定できない場合や、改善しきらない場合もあります。特に副鼻腔炎が原因の場合は耳鼻科で吸引してもらわないと改善しない場合もあります。